「THE UPSIDE /最強のふたり」友情が人生を動かす。
THE UPSIDE /最強のふたり
主演:ケヴィン・ハート、ブライアン・クランストン、ニコール・キッドマン
あらすじ/背景
2011年に公開されたオリジナルのフランス版「最強のふたり」がハリウッドでリメイクされた本作。大まかなあらすじは、実在する体が不自由な大富豪フィリップと彼の介護をする貧しい黒人青年デルの友情を描いています。
フランスでは歴代観客動員数3位を記録し、世界中で大ヒットをしたことでハリウッドでリメイク版の製作が噂されていたが、当初の製作会社がセクハラ・性的暴行によって逮捕されたハーヴェイ・ワインスタインが設立したワインスタイン・カンパニーであったことから、『The Upside』の公開日は延期となっていたとのこと。
そしてオリジナル版の公開から約8年後に『The Upside』が公開された(FRONTROWより引用)
実業家フィリップ・ポゾ・ディ・ボルゴ
実在のフランス人実業家のフィリップ・ポゾ・ディ・ボルゴを長きに渡って介護したアブデルとの友情を描いた本を出版したことで映画化されてます。
前科者と富豪の出会い
刑務所から出所したデルは妻や息子から見放されており、働く気もなく失業手当を目的に署名活動を行っていた。
面接の待ち時間が長く、順番が待てずに割り込むデル。ここでデルを見たフィリップは、いつもの面接者とは違う雰囲気を感じとり、署名するから明日取りに来いと伝える。
デルの生活背景と二人の出会いを描いています。
介護の仕事
デルが一晩考えて仕事することを決意。DNR(蘇生処置拒否)の指示に同意し、介護を始めて四苦八苦するデル。
理学療法士のマギーから関節可動域訓練やカテーテルの交換などを指導されます。
尿道カテーテルの交換ではデルが嫌がりながらも行う姿は微笑ましく感じました。理学療法士がカテーテルの交換をしている場面は驚きです…
私は作業療法士ですが、できません。
というか、尿道カテーテルの処置は看護師の領域なのでやりません。行うことができるのは医師、看護師、指導を受けた患者本人や患者家族のみとなります。
DNR(蘇生処置拒否)とは?
DNRってご存知でしょうか?医療に関わったことのある人は知っていて当然のワード。
DNRとは患者が指示した場合、蘇生処置を行ってはいけないことを意味しています。蘇生処置とは人工呼吸や胸骨圧迫、電気ショックなどに当たります。
以下に詳細を載せておきます。
蘇生措置拒否とは、終末期医療において心肺停止(CPA)状態になった時に二次心肺蘇生措置(ACLS)を行わないこととされる。DNR、DNAR、DNACPRなど略称がある。原則として行われる蘇生措置をあえて行わないため、患者と家族の明確な意思表示が要件となる。
原則的に患者およびその家族のQOL(生活の質)を改善するためのアプローチである。処置を行う間に家族が患者を看取る最後の大切な時間を失う、などの理由から、患者の負担と看取りにおける家族の悲嘆の緩和が目的である。
(Wikipediaより引用)
関節可動域訓練
こちらはリハビリに従事している方、特に理学療法士が行う関節を動かす治療です。
今回のフィリップに関しては首から下が完全麻痺しているため、自身では動かすことが出来ず、感覚も全くない状態です。
そこで関節が硬くならないように毎日動かすことが重要になります。硬くなってしまうと、ベッドや車椅子への乗り移りや先体、着替えなど介助者の負担が増えてしまいます。
尿道カテーテルの挿入
脊髄損傷の場合、排尿障害により自力にて排尿ができなくなります。そのため尿道にカテーテルを挿入し膀胱から導尿する必要があります。
脊髄損傷だけに限らず、前立腺肥大など何かしらの原因で排尿障害がある場合や手術や絶対安静の時も使用します。
フィリップの悩み
フィリップの日常は朝から音楽を聴き、理学療法士による訓練や介護を始めたデルに手伝ってもらいながら書類をチェックする仕事をしたり、外出して妻の好きだった絵画を集めたりしていた。
そんな彼は四肢麻痺の原因になったパラグライダーの落下と妻の死の夢に苛まれていたのだった。
悪夢にうなされ、呼吸困難になったり、神経因性による足の痛みに苦しむ描写もありました。
神経因性疼痛とは?
字の通り神経に起因する痛みのことを言います。感覚が非常に敏感になり、主に灼熱痛やチクチク感を感じることが多いようです。軽く触れられただけで痛みを感じることもあります。
詳しくは以下に記載します。
神経障害性疼痛は、痛覚受容器への刺激ではなく、末梢または中枢神経系の損傷または機能障害によって発生する。診断は組織損傷と釣り合わない疼痛、異常感覚(例、灼熱感、チクチク感)、および神経学的診察で検出される神経損傷の徴候から示唆される。神経障害性疼痛はオピオイドに反応するが、鎮痛補助薬(例、抗うつ薬、抗てんかん薬、バクロフェン、外用薬)を併用することが多い。
(MSDマニュアルプロフェショナル版より引用)
リリーとの文通
1年の間顔も知らない相手と文通をしていたフィリップ。その相手の名前はリリー。
イボンヌが手紙の代筆をしていると、デルが手紙に書いてあった番号に電話をかけてしまったことで、フィリップが仕方なく留守電に伝言を残し食事に行くことになります。
慎重に進めたかったためか、フィリップにとっては急展開過ぎて唖然…
不安そうなフィリップにイボンヌが大人の女性として言った言葉がものすごく印象的でした。
〝賢い女性には頭と心が大事
彼女を動かすのは手ではない〟
長きに渡り、秘書として寄り添ってきたイボンヌが言うことで言葉の深みを感じます。
フィリップののとを一番分かっているのはイボンヌではないでしょうか。
二人は無事に食事はするものの順調に進んでるかのように思えましたが、徐々にリリーの態度や言葉に変化がみられます。フィリップはそんな変化を感じとり、その場を離れてしまう。「私なりの付き合い方を君は奪った」とデルに当たってしまいクビにしてしまいます。
運命の人
フィリップの元を離れたデルは、Tremont mobilityという車椅子製造会社で働きます。
フィリップはデルのいない介護に自暴自棄になってしまいます。少しずつ無気力になってしまうことでイボンヌも出て行ってしまいます。
そんなデルの元に理学療法士のマギーがフィリップの状態を伝え、助けを求めに来ます。
デルは車を走らせ、パラグライダーが飛んでる丘へ。そして、フィリップとデルの二人は様々な思いを抱き、大空へ飛び立つのでした。
そして〝楽しみはこれからだ〟と告げ、その場を去るデル。フィリップの肩に手を添えるのは…出て行ったイボンヌでした。
イボンヌを見て「会いたかった」と涙を流し、笑顔で語るのを見送るのでした。
個性がぶつかった二人
やはりオリジナル版やハリウッド版共に言えると思いますが、個性がぶつかる二人が生み出すユーモアさが、この映画の良さを醸し出してますね。
デルの行動は度が過ぎてると思いがちですが、自分がやりたいと思ったこと、フィリップが求めてることを真っ直ぐこなし、フィリップに影響されて絵を描いたり、アプリを考案しようとしたり、デルの純粋さが伝わってきますね。
四肢麻痺の人に麻痺の原因になったパラグライダーをやらせますか??そんな粋なことをする人柄に惚れました。きっとフィリップは悪夢から解放されたと思います。相手が何を求めているか捉えることって大事なことですね。
オリジナル版との違い
ここでオリジナル版の大まかな設定を下記に記載します。
・ドリスが家族ではなく弟のことで悩んでいる
・アシスタントのマガリーに好意を抱く
・フィリップに娘がいる
・食事を約束するも逃げ出してしまう
・ラストの運命の人は文通相手のエレノア
オリジナル版との違いに関しては細かいところはまだありますが、主に上記が違う箇所だと思います。ラストシーンではリリーではなく、イボンヌが来た時はハリウッド版ならではのアレンジでしょうか、「フィリップ良かったね」と自然と笑顔になりました。
今回のハリウッド版はアレクサやアプリなど現代風にアレンジされていて見やすさはありました。
最後に
こちらがフィリップとアブデルご本人です。
オリジナル版からですが、フィリップは現在モロッコに在住しており、再婚して二人の娘の父となっており、ドリスのモデルになったアブデルは会社の社長になり、結婚して3人の子の父となっているとのこと。
二人はまだ強い絆で結ばれている。
オリジナル版予告編はこちら
「子どもが教えてくれたこと」 普通の日々が宝物
子どもが教えてくれたこと
主演:アンブル、カミーユ、イマド、シャルル、テュデュアル
あらすじ/背景
難病を患う5人の子どもたちの明るく生きる姿を映したドキュメンタリー。
本作の監督はオーストラリアのジャーナリストであるアンヌ=ドフィーヌ・ジュリアン。
彼女は自身の娘を異染性白質ジストロフィーという病気で亡くした経験をもとに、日々の生活を綴った「濡れた砂浜の小さな足跡」を出版している。(講談社)
異染性白質ジストロフィーとは?
アリルスルファターゼAの欠損により発症する常染色体劣性遺伝形式を示す遺伝病。発症頻度は4万~16万人に1人。発症時期と臨床経過により、乳児型、若年型、成人型に分類される。乳児型は2歳までに発症し、筋緊張低下、深部腱反射消失、歩行障害を呈する。若年型は4~6歳頃に発症し、視神経萎縮、知能障害、痙性麻痺などを呈する。成人型は10代後半以降に情緒障害、言語障害、痴呆、精神症状などで発症し、5~10年の経過で進行する。
(小児慢性特定疾病情報センターより引用)
どのように生きているか
監督は来日したインタビューで、その経験があったからこそ、5人の子どもたちが人生や幸せをどのように捉えて、〝どのように生きているか〟ということを皆さんと共有したいと話しています。それでは5人の子どもたちを紹介していきます。
アンブル/age9
肺動脈性肺高血圧症(PAH)を患い、薬剤ポンプを背負っているアンブル。
運動負荷には十分に注意が必要だが日々明るく舞台の練習を頑張っている。
できるだけ普通の子の様に、「できる運動」を思いきり楽しむ姿が前向きに生きていた。
彼女はカメラに向かってこう話す。
〝愛してくれる人がいればそれで幸せ〟
肺動脈性肺高血圧症(PAH)とは?
心臓から肺に血液を送るための肺動脈の圧力(血圧)が異常に上昇してしまう疾患です。肺動脈の圧力が上昇する理由は、肺の細い血管が異常に狭くなり、また硬くなるために、血液の流れが悪くなるからです。必要な酸素を体に送るためには、心臓から出る血液の量を一定以上に保つ必要があります。狭い細い血管を無理に血液を流すように心臓が努力するために、血圧が上昇します。原因は解明されておらず、有効な治療法の研究開発のため、難治性呼吸器疾患(指定難病)に認定されています。
(難病情報センターより引用)
カミーユ/age5
クラブに属しているのかパパと一緒に一生懸命に走っていた。転んで痛がっても立ち上がり、ボールを追いかける姿は、思わず笑顔になった。
神経芽腫とは?
神経芽腫は、乳児のガンとして最も多くみられている。神経芽腫のほぼ90%が5歳未満の小児に発生する。副腎から、またはより頻度は低いが後腹膜、胸部、頸部を含む副腎外の交感神経鎖から発生する。診断は生検により確定され、治療には外科的切除、化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植併用大量化学療法、シス-レチノイン酸投与、免疫療法などがある。
(MSDマニュアル プロフェッショナル版より引用)
テュデュアル/age8
神経芽腫を患い、3才で腫瘍を摘出したデュデュアル。
祖母からピアノを教えてもらったり、本を読んでもらっており、家族から温かく見守られていた。お花の紹介もしてくれてました。
ピアノを弾くのがとても上手い。
彼は〝病気でも幸せになれるよ〟と笑顔で話していた。
イマド/age7
慢性腎臓病の治療のためアルジェリアから移住してきたイマド。
腹膜透析を自宅で続けており、腎臓移植に向けて話は進み、パパを気遣う言葉に思わず涙が出てきます。
慢性腎不全とは?
慢性腎臓病(CKD)とは、腎機能が長期にわたり進行性に悪化する病態である。症状は緩徐に現れ、進行すると食欲不振、悪心、嘔吐、口内炎、味覚異常、夜間頻尿、倦怠感、疲労、そう痒、精神的集中力の低下、筋収縮、筋痙攣、水分貯留、低栄養、末梢神経障害、痙攣発作などがみられる。診断は腎機能検査に基づき、ときに続いて腎生検を施行する。治療は主に基礎疾患に対して行うが、具体的には水・電解質バランスの管理、血圧のコントロール、貧血の治療、様々な種類の透析、腎移植などがある。
(MSDマニュアル プロフェッショナル版より引用)
シャルル/age8
チョウの羽みたいに弱い肌をもつ、表皮水泡症を患うシャルル
そのため体幹や前腕部、下腿部には包帯、よく使う両手はサポーターを着用。
親友ジェゾンがいることで前向きに入院生活を送ることができている。
表皮水泡症とは?
後天性表皮水疱症は、表皮下水疱の形成を特徴とする、まれな後天性の慢性疾患である。
後天性表皮水疱症は、あらゆる年齢で発症しうる係留線維の主成分であるVII型コラーゲンが、この自己免疫疾患の標的抗原である。多発性骨髄腫、アミロイドーシス、リンパ腫、炎症性腸疾患、および全身性エリテマトーデスは、後天性表皮水疱症の発生リスクを高める。
(MSDマニュアル プロフェッショナル版より引用)
子どもが教えてくれたこととは?
5人ともカメラに向かって自身の病気を話す姿は、しっかり向き合うことが出来ていると感じました。
ママやパパに対してハッキリと気持ちを伝える純粋さ。その中には労わる優しさも持ち合わせていることが伝わってきました。
日々を前向きに生きる姿は、本当に誇らしく、尊敬できます。
子どもが教えてくれたこと、それは…
〝1日1日を大切にすること〟
ではないでしょうか。
「あまくない砂糖の話」 砂糖のスゴさ、堪能あれ。
あまくない砂糖の話
監督/出演:デイモン・ガモー
オーストラリアの俳優で歯を中心に成長したデイモン・ガモーのナレーターで始まる決して〝あまくない〟砂糖の話…
もうすぐ父親になることから、砂糖について真実を知るためにある実験を行います。
100分程度の作品でしたが、砂糖のスゴさを痛感した作品でした。
これを観たあなたの食生活が変わるかもしれない。
いや、変えた方がいいのかもしれない。
あらすじ
デイモン・ガモーは、人間は平均で1日にスプーン40杯もの砂糖を摂取していることを知る。世の中にはヘルシーをうたった食品も数多く売られているのに。疑問に思った彼は、医療チームの監視のもとで、自分が砂糖を食べ続けて実験をすることにした。その実験とは、あえて低脂肪ヨーグルト、穀物バー、フルーツジュース、シリアルなどの“ヘルシー”な食品を3食60日間食べ続け、体や心がどのように変化していくのかを記録していく。
cinemacafe.netより引用
ヒュー・ジャックマンのカメオ出演
冒頭、砂糖の歴史について、あのヒュー・ジャックマンが力説します。これはビックリ仰天。 昔は砂糖は珍しく、その希少価値から王族の象徴になっていた。エリザベス1世も歯が真っ黒だったとか。掴みのある話をしていました。
脂肪VS砂糖
ここで砂糖と脂肪の歴史について簡単に説明がありました。
1955年アイゼンハワー大統領が心臓発作に襲われたことで心臓病に対する関心が集まります。
アメリカ人の科学者キーズは脂肪が原因と説明。一方、イギリス人のユドキン博士は砂糖に注目。
20年対立し、キーズが勝利。
脂肪が悪者に砂糖は無罪に。それから低脂肪ブームが始まるのでした。
しかし低脂肪だとカロリー不足で風味も劣るため、ここで〝砂糖〟が登場し重宝されました。
砂糖を摂るのはお菓子ではない
医療チームを結成し、スプーン40杯の砂糖を毎日2ヶ月間摂取し続ける実験を行う前にミーティング。
デイモンはジャンクフードやお菓子などを食べ続けると思いきや摂取するものは低脂肪のヨーグルト、市販のシリアル、穀物バー、ジュースやスムージーなど。疑問を隠せない反面、面白そうだとワクワクな表情でした。
砂糖ファミリーの紹介
脳のエネルギー源 パンやパスタ、野菜に穀物にも含まれる。なしでは生きられない
乳糖
哺乳類の母乳に含まれる糖分でチーズや牛乳、ヨーグルトにも入ってる。
ショ糖
コーヒーや紅茶に使う糖分でブドウ糖と果糖の2つの糖分からできている。
この果糖があらゆる物に入っており、病気の原因は多くの科学者が果糖だと考えいるのだとか。
実験開始
デイモンは以下のルールに従って実施。
●ジャンクフードはなし
●ソーダやお菓子、アイスは禁止
●カウントするのはショ糖と果糖のみ
●走り込みや筋トレなどの運動は欠かさない
開始前スペック
体重:76kg
ウエスト:84㎝
内臓:問題なし
検査上、健康そのものの身体。
初日の朝食は…
シリアル推奨1食分 3杯
大人は2.5食は欲しいため、7杯半
ヨーグルト1食分 4杯強
リンゴジュース400ml 9杯
朝食のみで20杯‼︎
これはなかなか凄い量でした。
果糖の大量摂取はなぜ起こる?
りんご1個の砂糖はスプーン4杯。
2個食べたら大人でも満足。
ジュースにするとどうなる??
りんご4個をミキサーにかければコップ一杯。
合計スプーン16杯の砂糖を取っていることになります。満腹感を得るための食物繊維を壊し、ショ糖や果糖だけ取り出していることになります。恐ろしい。
ジャン・マルク・シュワルツ博士はこう述べていました。飲料を摂取すると快感を得られます。その効果は一瞬。巨大な糖分の波が肝臓に到達するようなもので、その影響は甚大だと。
12日目…
+3.2kgの体重の増量。
スーパーで謳ってる〝健康食品〟の摂取のみでここまで体重が増えるのか、驚きでした。
皮下脂肪は少ないが内臓脂肪TOFI(Thin on the Outside,Fat on the Inside)が増えていました。
果糖の摂取は内臓脂肪の増加に繋がります。
内臓脂肪が増えると、皆さまも知っているようにメタボリックシンドロームに陥り、病気になりやすくなります。
18日目…
ALTが上昇
ALTという肝臓内で働く酵素の数値が上昇し、血中濃度が上がっているとのことでした。簡単に言うと肝細胞の死骸などが、血中に入っているということ。肝臓に脂肪がたまってきている証拠ですね。
心の変化
気分の変動を訴えるデイモン。砂糖を食べると45分くらいハイな状態になり、その後はダルくなってボンヤリした状態に。
躁鬱病ではないが躁のように気分が高揚し普通の状態ではないとニック・アレン医師から言われます。
甘い飲料水を飲むと血糖が急激に上昇し、気分が高揚します。インスリンが分泌し血糖を下げるため、低血糖になると血糖を戻すためにアドレナリンが分泌します。そうなることで集中力の低下や短気になると言われています。
砂糖の勉強
体内に入った砂糖は果糖とブドウ糖の2つに分かれます。エネルギーとして使われるか蓄えられるか、ブドウ糖は肝臓で素早く処理されます。
果糖は自然界において希少なため、肝臓は全て吸収しようとしますが、余った分は脂肪に変えてしまいます。
肝臓に居座り続けることでインスリンの機能不全やDM(糖尿病)のリスクを高めます。
果糖から作られた脂肪は中性脂肪から血中へ。
これが肥満、動脈効果、心臓病の原因になります。
砂糖や炭水化物を大量に摂取すると体内のブドウ糖が増え、インスリンが血中のブドウ糖をエネルギーとして消費させます。
インスリンがブドウ糖の処理を始めると脂肪細胞は分解されなくなるため、脂肪の燃焼が止められてしまいます。
つまり果糖から作られた脂肪が送られるのに同時にブドウ糖が現れ、インスリンの分泌も増えることから脂肪は燃やされず、そのまま残ってしまいます。
実験の拡大のためアマタへ
デイモンは実験のためオーストラリアへ。
地域開発委員のジョン・トレゲンザは1973年にオーストラリアに訪れ、アマタにて役所の人々とともに健康な物を摂取できるように生鮮食品を住民に届けるプログラムを計画。
●フライヤーを撤去
●無料飲料水の提供
●食育のため栄養士を雇う
●子供向けのPVを作成
健康についての理解が深まり、あの〝コカ・コーラ〟が排除されたことで、砂糖消費量が短期間で大幅減少。
しかし政府の予算が減らされ、栄養士は解雇。さらに資金を打ち切りになったことで教育の機会が奪われた結果、別の物から砂糖を摂取するようになってしまい、心臓病や糖尿病など病気も増えていった。
糖尿病や腎不全の原因は酒だという声があるが、アマタは飲酒が禁止であるため、ジョンは日々の食事が原因だと考えている。
世界一の肥満大国のアメリカへ
時差ボケの中、「果物と天然原料のみを使用、健康にコミットします」と記載されているスムージーを飲むが、糖分139gでスプーン34杯分だった。
このスムージーを果物のまま摂るなら…
桃4個、ライム9個、レモンとイチゴを30個ずつ。
ペプシVSコカコーラの戦争でペプシの勝利に終わったケンタッキー州。主力商品がマウンテンデューだが、1.25ℓのボトルにスプーン37杯の砂糖。カフェインは同じ量のコーラの4割増し。
もう、何にも言えねー…
移動式の歯科医院
ケンタッキー州では虫歯が問題となっており、歯科医のエドウィン・スミスは州内をトラックで走り回り、学校を訪ねて子供の指導や治療を行っていた。
マウンテンデューの飲み過ぎが原因で虫歯が多いと付けた名前が「マウンテンデュー・マウス」飲んだ20分後にはまた飲みたくなるのだとか。
スミスいわく唾液が口内を洗浄するには20分ほど要するとのこと。そのため歯がマウンテンデューに浸かっているのと同じだと述べている。
最年少の患者は3歳。「ほ乳瓶虫歯」というやつで、ほ乳瓶でジュースを飲ませたことで起こるとのこと。
18歳のある患者がほ乳瓶にマウンテンデューを入れて飲んでいたことからマウンテンデューマウスになっており、総入れ歯に。なかなか痛そうな描写があったが、一番驚いたのは、治療後〝これからも飲み続ける〟といったことだった。
食品業界の恐ろしさ
ニューヨークタイムズのマイケル・モスは「人間が何をおいしいと感じる舌になるのか」「どうすれば中毒性に生まれるのか」最大の労力を投じて研究していると、企業の恐ろしさを語った。
加工食品業界の重鎮であるハワード・モスコウィッツに取材でき、ドクターペッパーの味の開発方法を聞くことができた。
甘味料のレベルを61段階に分け、全米3000人を対象とした試飲テストを実施。そのデータから使用する甘味料の量の最適値を割り出しているとのこと。こうして新商品が売れるわけです。
最適値を業界用語で至福点と言うらしい。
あらゆる商品で至福点を追求するのは子どもの習性につけ込むのと同じ。子どもが求めるものは甘みだけ。そのため野菜を食べなくなる。ブロッコリーを食べても苦味が際立ってしまうとのこと。
35日目…
ルールである運動が苦になり始め、やる気が出なくなってきたデイモン。また肝臓機能低下の影響で吹き出物が出始めた。
身体面の変化は顕著、精神面の変化が心配で研究所にてMRI(磁気共鳴画像)にて脳検査を実施。シェイクの絵を見てストローを吸う時の脳反応をチェック。
視覚情報を得ると脳内でドーパミンが分泌され、エネルギーを得るために脳が摂取しろと命令。こうして甘みを摂取することでβ-エンドルフィンなどオピオイド類が分泌され気分が良くなる。ニコチンやコカインなど報酬領域を刺激されるが長続きしない。そのためまた摂取したくなる。この繰り返しが砂糖の中毒性を生むのだろう。
セルジュ・アーメドが発表した論文によると
「実験用ラットはコカインよりも砂糖に対して、より執着を見せた」とされます。
折り返しの時点では食事量は増えたとばかり思っていたにも関わらずら摂取量は実験前と変わらない。
摂取カロリーは変わっていないのに肝臓には脂肪がつきお腹は出っ張てきてる。
こんなことってあり得るのか。
政府・業界による隠蔽
科学ジャーナリストのゲーリー・トーベスは1970年代に事実の隠蔽が始まったと語る。政府が砂糖の安全性を調査し始めると、砂糖協会は製品が避難を受けないように動いた。学者にお金を払い、広告会社を雇って発表した声明はこうだった。
「科学者が砂糖の悪影響を否定」
「食生活の中の砂糖」という文章が発表。業界の関与を隠した上で雑誌に掲載された報告書を砂糖協会はバラまき、政府は調査結果の判定にこの文章を使用したことで砂糖の容疑は晴れ、世界は砂糖を受け入れたのだと。
砂糖協会のテイタム会長は幹部に
〝砂糖が慢性疾患の原因となることを示す証拠は存在しない〟と説明。
砂糖協会の仕事は砂糖に起因する因果関係を隠すことだと主張。
またデューク大学大学院 行政学部長のケリー・ブラウネル博士は業界に都合のいい結果を科学者に発表させ、心臓病やガンに関連する団体に資金を提供して、マスコミを使い情報捜査する。業界に不利な研究は徹底的に攻撃すると語った。
キンバー・スタンホープ博士も代謝性疾患と砂糖の関連を否定する研究は多い。「因果関係を示す証拠はない」とする論文は砂糖業界の資金で発表されていると語った。
なぜ科学者たちは砂糖を守るのか。
会って話しを聞くことに。
ジョン・シーブンパイパー博士ばデイモンの実験は興味深いと。体重増加について問うと、どんな物も大量摂取は危険、カロリーの摂取量は自己管理すべき…と。
主張は食品業界の言い分と同じだった。
ここで研究資金の出資者を聞くとコカ・コーラから援助されていたことが分かった。
研究者主導で進める前提で資金を受け取ったが研究内容や方法など口出しはされていないと。
真実なのかどうか疑いたくなりますね。
アメリカ滞在中に痛感
デイモンは砂糖が人体にどんな影響を与えようと人々はそれを受け入れてしまっている。
人間の体と精神のすごさを改めて知った。
スプーン40杯分の砂糖摂取に適応してしまうんだと。
実験結果
60日間でスプーン2360杯の砂糖を食べたデイモン
結果は…
体重は8.5Kg増量
体脂肪率7%増加
ウエスト10㎝増
ALTは最初の1ヶ月で数値が40近く増え、血中脂肪を示すTGは正常値の0.08から1.5まで増加。
摂取カロリーは変わらず、ジャンクフードも避けたのにウエストも体重も短期間で激増。
ちなみに…
脂肪肝になるとインスリンが働かなくなり、II型糖尿病が誘発されやすくなります。
トリグリセリドの数値が上がると悪玉コレステロールも増加し、心臓病につながります。
動脈壁に蓄積することで動脈硬化も引き起こしやすくなります。
各専門家が発言しています。
カロリー源に目を向けるべき。
砂糖を摂らなければ食品の危険度は下がる。
正確な研究を待つぐらいなら砂糖を減らす。
デイモンの復活
砂糖を断った一週間は辛かったと語る。
頭痛や気分変動、睡眠サイクルの悪化
朝は無性に砂糖を欲してしまう。
2〜4週間耐えると欲する衝動は突然消えるとのこと。
デイモンも情緒不安定ながらも砂糖を断ち、2ヶ月後には普段の食事を摂ることで体重もウエストも減少。肝臓も問題なくなった。
赤ちゃんも無事に産まれ、しあわせな家庭の描写もありました。
これから出来ること
砂糖と果糖の摂取が健康を害する要因。
砂糖だけが悪者という訳ではないが、身近さを考えると安易に摂取しやすいことから、摂取量を減らすことが大事。
砂糖を使うことなく、いかに自然な食材をおいしく食べられるか。
果物と野菜をメインの食材にして子どもにおいしいと思わせるのが重要。
親は栄養の摂り方を子どもに教えなくてはならない。
食べてきた物によって、将来の身体に変化がみられることを意識する。
「ドント・ウォーリー」己を知り、強き人間に。
ドント・ウォーリー
主演:ホアキン・フェニックス、ジョナ・ヒル、ルーニー・マーラ、ジャック・ブラック
作品ができるまで
まずは本作ができるまでを簡単に説明。
今は亡きロビン・ウィリアムズが「グッド・ウィル・ハンティング」の公開時からキャラハンを演じたくて映画権を買い、映画化を構想したが2014年に他界。その前に演じる予定だったジョン・キャラハンが2010年に他界してしまう。
権利を所有していたソニー・ピクチャーズが監督のガス・ヴァン・サントに企画を進め、「アルコール依存症と戦った時期」に焦点を当てたアイデアを思いつくも却下される。
そこで様々な会社に企画を持ち込み、アマゾンスタジオの目に止まったことでウィリアムズの意志を継いだ作品が完成した。
(シネマトゥデイより引用)
あらすじ
ポートランドの漫画家、ジョン・キャラハン(ホアキン・フェニックス)は、アルコール依存症で隠れて酒を飲む生活を送っていた。ある日、自動車事故に遭い四肢麻痺になり余儀なく車椅子生活を送ることになる。ジョンは人生に絶望し、自暴自棄になるが、あることをきっかけに風刺漫画を描き始める。
酒の前では無力
序盤はジョン・キャラハンがアルコール依存症による症状である「渇望感」と「手の震え」がありながらも平静を装い酒を買っては隠れて飲むなど、酒を飲む描写が多かった。
パーティーで出会ったデクスター(ジャック・ブラック)と意気投合し、バーで大量の酒を飲んではアトラクションを楽しんだりしていた。泥酔状態のデクスターが運転する車の助手席に乗っていたジョンは眠ってしまい、起きた時には頚椎カラーをして病院のベッドに居た。
アルコール依存症とは
強迫的に飲酒を行為を繰り返す精神障害
・飲酒のコントロールが出来ない
・離脱症状(震え、嘔吐、下痢など)が出る
・分かっていても断酒が出来ない など
「家族や仕事、趣味などより飲酒を優先させてしまう状態」
(みんなのメンタルヘルスより引用)
確定診断はICD-10診断ガイドラインより
以前は慢性アルコール中毒やアルコール症など言われていましたが、同じと考えていいとのことです。以下のガイドラインに従って診断されます。
出典元:みんなのメンタルヘルスより
事故で脊髄損傷に
研修医を引き連れた医師から告げられたのは完全型のC6頚椎損傷。
肩や腕、手の筋力が弱くなっており、胸から下は動かないと。完全型であるため、今の医療技術では治すことはできませんが、不全型であればリハビリにより「できないこと」が「できる」ようになる事が増える見込みは十分にあります。
出典元:MSDマニュアル家庭版より
脳は問題ないのに、手が不自由、体も足も使えない、機械で縛り付けられ寝かされた絶望の中、ボランティアのルーニー・マーラ演じるアヌーと出会い、会話をして花をもらいます。
〝嗅がせて〟と花を嗅いで表情が和らぐシーンは心に残りました。
嗅覚は直接脳に伝わるため、記憶に残ると言われています。ジョンも思わず涙が溢れていました。
初めて電動車椅子に乗った時は、自由に動くことの喜びが表情に現れ、進行方向のレバーを操作する右手にも力強さが伝わってきました。
患者さんが一歩進んだことで、このような笑顔が見れることは心の底から嬉しく思います。
Zancolli(ザンコリー)の分類
ここで豆知識。どこの髄節で損傷を受けているか、どの程度腕や手が動くか評価するためにZancolliの分類というツールがあります。
C6損傷は細かく分類されているため、しっかり評価する必要があります。手首を反らせることができるかできないかでC6AかC6Bか分類されます。
☝️手関節が弱いため、カックアップスプリントを両手に装着して何とか車椅子を漕いでいるジョン。
啓発は己を知ってから
車椅子生活になり、手が不自由であるにも関わらず、酒を飲み続ける日々。
ある日、離脱症状で自分を捨てた母親の幻影をみたことで禁酒を決意。
アラノクラブという禁酒会(アルコホーリクス・アノニマス:AA)に参加し、12ステップのプログラムを実施。
〝弱い人間ほど強い人間になれるんだ〟
無力さを感じ、他者を許し、自分を受け入れることで一つずつステップアップして「アルコール依存」を乗り越えて行く。
禁酒会(AA)の背景
1930年代にアメリカでまずAAが誕生し、世界中に広がりました。日本にも1970年代後半に導入されており、またAAをモデルにして独自の断酒会が1950年代に結成されました。
いずれも、メンバーが集まって自己の体験を語ることを基本にしており、断酒継続には非常に有効とのことです。
キャラハンの風刺漫画
最後に
病院での会話のワンシーンですが…
スタッフ:理学療法士(PT)を呼んで‼︎
ジョン:理学療法士?
と、リハビリ専門職の名称が出てきて嬉しかったですね。
私は作業療法士ですがww
ジョン・キャラハンの伝記に興味があれば一度鑑賞してみてはいかがでしょうか?
「wonder 君は太陽」 静かな強さで人を動かす。
wonder 君は太陽
主演:オーウェン・ウィルソン、ジュリア・ロバーツ、ジェイコブ・トレンブレイ
本作はR・J・パラシオが2012年に発表した小説
『ワンダー』を原作としている。
片目に非対称な耳。なかなか独特の描画ですね。
「僕は普通の10歳の子じゃない」
27回手術をして呼吸が楽に
目や耳も良くなって見た目もマシになった。
でも〝普通〟とは言えない
明るさと悲しさが入り混じって聞こえる
少年のナレーターで始まる…
あらすじ
宇宙飛行士に憧れる5年生のオーガスト・プルマン。遺伝子疾患により27回の手術を行ったことで顔には跡が残っていた。自宅学習を続けてきたオギーだが、両親が外の世界へ送ること決意。始めての学校では試練が待ち受けていた…
トリーチャーコリンズ症候群
頬骨欠如や顎顔面形態の不調和が特徴的な症状としてみられる疾患。別名下顎顔面異骨症ともいう。常染色体優性先天性疾患の中でも稀有な例の一つ。平均して10,000人あたり1人の新生児に見られる。
この作品は「オギー」「ヴィア」「ジャックウィル」など各人物の〝思い〟が描かれていくのが特徴的でした。
オギー、外の世界へ(学校へ)
〝つらい時は、楽しい空想をして〟
他の生徒からジロジロ見られながら初登校するオギーはママの言葉を思い出して進む。
宇宙飛行士の姿をして、みんなから賞賛されるイメージをもつところはとても印象に残った。
学校生活の中でいじめや裏切りなどを乗り越えていく中で少しずつ友情が芽生えていく。
ヴィアの願い
姉のヴィアはオギーのことが大好き。
しかし家族がオギーを中心に回っていることは仕方がないと内に秘めていた。
彼女も高校生活がスタートするも理解者であったミランダとの友情の変化や新たな出会いなどが描かれる。
ただ、彼女の願いは一つ
「ママに見てほしい」
ジャックの気持ち
お母さんに頼まれたことでオギーに近づいたジャック。一緒に居ることでオギーに学んだこと。
一つ 顔には慣れてしまう
二つ すごく賢い
三つ かなり面白い
四つ ずっと友達で居たい
ジャックは5年生の全生徒の中で誰と一緒に居たいか、間違いなくオギーを選ぶと。
オギーと接してく中で「親友」と呼べる存在に。
知るためには、よく〝見る〟こと
各人物のそれぞれの思いがある中
物語は修了式に向けて進んでいきます。
〝ありがとう 入学させてくれて〟
オギーがママにしっかり伝えた言葉。
困難を乗り越えた先の「成長」を感じた瞬間でした。
ブラウン先生の格言
〝人をいたわれ。みんなも闘ってる。
相手を知りたかったら、やることは1つ。
よく見ること〟
言葉通り。知るためにはよく見ろ。
最後のオギーの姿は自信をもって「見て」と胸を張っているかの様でした。
作者のパラシオさん
原作者のパラシオさんがエキストラ出演‼︎
修了式に参加したとのことです。
〝偉大さは強さの中にはない
強さを正しく使うことの中にある
最も偉大な人とは自分自身の魅力で
多くの人の心を動かす力を持っている〟
修了式で校長のスピーチを聞き、胸がいっぱいになったらしいです。
最後は名言のオンパレードでした。
ワンダー=奇跡の子
思わず応援したくなるヒューマンドラマです。
是非ご鑑賞くださいね‼︎
「マイ・インターン」人との〝交流〟が充実した余生を生む
マイ・インターン
〝愛と仕事が人生のすべて〟
の一言から始まるこの映画。
現役から長く離れた一人の老人の人柄やスキルに惹かれ、様々な人たちが影響されるハートフルコメディ。
あらすじ
退職し、妻に先立たれたある一人の老人(ロバート・デニーロ演じるベン)がやることを探しては時間を持て余す生活をしていた。
ある日、張り紙から高齢者のインターン求人募集をみつけ、アバウト・ザ・フィットという会社で働くことに…
ベンの人柄を描く
妻亡き後、趣味であるゴルフ、読書、映画、トランプ、ヨガ、太極拳、料理教室、園芸など悠々自適のなまけた生活を楽しんでいたものの、どこか虚しさを感じていた。
〝どこでもいい、外に出よう〟
7時15分に必ずスタバに行くことで、無理に社会の場に溶け込む安心感を心に満たしていた。
☝️シニアインターンの面接に来たベン
毎日通う場所ができる。
人と接し、刺激を受けられる。
と気合が入る。
他に面接に来た方の中には、四点杖を使用している方もいれば、在宅酸素療法(HOT)を行なって携帯用酸素ボンベを使用している方もおり、印象的でした。
リハビリに携わる私としては、こんな人たちが仕事の面接に来ているだけで微笑ましいです。
みんなのおじさん
☝️アン・ハサウェイ演じる社長のジュールズ
見事にシニアインターンに採用され、ジュールズの専属になるも仕事はまったくもらえず…
そこで好きな名言である
〝正しい行いは 迷わずやれ〟
「行動あるのみ」
と自ら他スタッフの手助けをする。
自分から動く人間は好まれますよね。
彼の実直で温厚な性格
管理職で培われた周囲を見渡すスキルや分析力
昔ながらの解決の仕方
昔から使っている物 など
周囲の人に影響を与え
〝みんなのおじさん〟に。
〝ハンカチは貸すためにある〟
この作品の名言ですね。まさに紳士。
長く生きてきた大人の男が言うと心に染みます。
一人の男としてハンカチはちゃんと持たなければ。
そんなベンの人柄や人生観などジュールズも認め
「一緒に居ると落ち着く」
と大切な存在に気付き始める。
一方、客の声を聞いたり梱包も確認したりと何事にも手を抜かず、仕事に熱心なジュールズの姿を見て会社に必要な人だと認めていく。
仕事だけではなく、私生活のアドバイスもするようになり、そこには確かに信頼と友情が芽生えていた。
最後は趣味の太極拳にジュールズも一緒に。
お互いに必要とする存在になってました。
太極拳で始まり終わる心暖まるストーリーです。
アンの美貌
それにしてもアン・ハサウェイは本当に可愛かったです。この業界で一番好きな女優。
「プラダを着た悪魔」に続き「マイ・インターン」でもファッションセンスが際立っていました。
もう何着ても綺麗ですね。女性の憧れではないでしょうか。
☝️マイインターンでのファッション
☝️スタッフも楽しそうです。
豆知識
ここで気になったのが、ジュールズの母との電話内容。
「睡眠時間が6時間を切る40歳以下の女性は7時間睡眠の女性と比べると体重が増える率が38%増える…」
これはなかなか恐ろしいですね。
頑張って働いているのにデブになる。
ちなみに…
「朝ごはんを食べない人は食べる人と比べると脳出血になる確率が40%高くなり冷え性率も2倍、学力も低下」
するそうです…
しっかり食べて、しっかり寝て健康な身体づくりをしていきたいものです。
今はパソコンが使えれば在宅ワークで稼げる時代になっています。しかし今の高齢者にとっては最大の難関。
自分の老後のためにもパソコンはある程度使えるようにしとかないといけないですね。
最後は余談になりました。
ではまた‼︎
「共演して学んだこと」
「カッコーの巣の上で」 1人の人間の行動が、周囲の人達に勇気や希望を与える。
カッコーの巣の上で
主演:ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー、ウィル・サンプソン
あらすじ
暴行罪や淫行罪など数多くの罪を犯してきたジャック・ニコルソン演じるマクマーフィ。再逮捕により刑務所での強制労働から逃れるため、詐病にて精神病患者のいる場所に移送され、院内で観察されることに…
久しぶりに観たので紹介したいと思います。
リハビリに従事する者として、やはりこれは普及の名作ですね。あらすじに沿って治療法など説明していきたいと思います。
グループセラピーに参加
婦長のラチェットを中心にグループセラピーに参加させられているマクマーフィ。一つのテーマで話し合われるも、みんな無言。ラチェットの指摘から、少しずつヒートアップしてみんな言いたい放題。彼はそれを興味津々で楽しそうに見ていた。
グループセラピーとは
別名は集団精神療法。集団精神療法とはテーマを決めずに自由に発言して抱えている悩みを話し合い、自分の心の問題を客観的に認識し、同時に困難な状況を乗り越える方法や技能を身につけることを目指した治療です。また悩みの共有により孤独感を緩和することもできると言われています。
1日のプログラムの中で軽体操を行い集団精神療法を行うのは今も行われています。
なかなか集中できず、自分から話すことが難しいことと、自由に発言したと思いきや否定や罵りなど、精神病患者の対人関係技能に難がある描写でした。
それをマクマーフィという一般人の目でみるところも見やすくなっていると思います。
マクマーフィの魅力
マクマーフィは聞こえない・話しもできない患者チーフに単独で熱心にバスケを教えたり、カードを利用して他患者たちと賭けをして儲けたり、ボードゲームの邪魔をしたりと無茶苦茶な行いにより、一人孤立していく。病院の外に出ると賭けをしましたが、うまく行かず。
〝努力はした
俺はチャレンジした〟
この言葉に他患者が深く考えるかの様な描写がみられ、少しずつマクマーフィという人物に惹きつけられているの様でした。
ワールドシリーズで一致団結
グループセラピーでマクマーフィがワールドシリーズを観たいと主張するも多数決で却下。
次のグループセラピーでは1人の患者が
〝野球はみたことないけど、見てみたい〟
と主張し、多数決で9人が挙手をするもラチェットが18人いるから過半数に満たないと却下。
負けじと話しの内容を理解していない患者の一票を必死に取ろうとするもなかなか手を挙げず。バスケを教えたチーフに頼み込むことで1票得るもセラピーが終わっているため時間切れだと。
そんなラチェットに怒りを抑えきれないマクマーフィは〝何もついてない〟TVの前で野球の実況をして患者たちと騒いでみせた。
まさに一致団結。
マクマーフィという人間が人を惹きつける瞬間でした。グループセラピーでも少しずつ仲間たちが発言できるようになってきており、彼らの中で何かが変わっていることに成長を感じる描写でした。
脱走して大海原へ
今度はみんなを連れ出し、船に乗って海へ。釣りを教えてもらっている仲間たちは病院から解放されたかのように意気揚々と楽しんでいた。
魚を自慢げに見せて岸に向かうシーンは胸を張って〝人として生きている〟かのようでした。
ペナルティー
マクマーフィはグループセラピーで一人の患者が強く主張したことにより起きた騒動を止めようと暴動を起こしたことで、ペナルティーの電気ショック療法をチーフと一緒に受けることになる。
電気ショック療法とは
両側の前頭葉外側に電気刺激を与えてけいれん発作を起こさせる治療法です。
統合失調症に対する治療として考案されたもの。今はうつ病など自殺念慮がある患者を第一選択としている
もちろん薬物療法でも効果が得られにくい場合も適応とのことです。
本作では完全に懲罰という形で電気ショック療法がされているが、懲罰として行うことは廃止するべきだと主張する団体もいたり、実施して良くなった体験をした患者もいます。
いろいろ議論も起きやすいことから治療器具や方法など見直しもされているとのことです。
カナダへ共に…
電気ショック療法の前に隣に座っていたチーフにガムをあげると〝ありがとう〟と言葉を発したことで驚きを隠せないマクマーフィ。スタッフを騙してるという同じ境遇にいることで嬉しさが込み上げる。
〝ここは俺たちのいる場所じゃない〟
病院から脱走してカナダに行こうと勧誘。
最後に病院を去る前に女を病院内に連れ込み、酒を持ち込み、盛大なクリスマスパーティーを開催。他の患者は仲間たちと〝自由〟を楽しむ。
ただ決まりきったスケジュールだけではなく、季節に合わせたイベントを行うことで仲間とのコミュニケーションをとりやすい雰囲気ができ、交流も深まっているように見えました。
生き生きした姿や笑顔溢れる場面は、思わず表情が柔らかくなりました。
手をつけられない患者の行く末…
仲良くしていた1人の患者ビリーがマクマーフィーの連れてきた女性と一夜をともにする。ラチェットが目の当たりにして〝母親に報告する〟とビリーのトラウマを煽ることでビリーが自殺してしまう。
それを知ったマクマーフィは怒りを抑えきれずラチェットに対して殺意をむき出しに飛びかかり首を思い切り締めるが、スタッフに殴られ気絶し…
なんとロボトミー手術が施行され、廃人と成り果ててしまう。
ロボトミーとは
前頭前野と視床をつなぐ神経繊維を物理的に遮断する治療法。前頭葉白質切断術ともいいます。
興奮、暴力、幻想、自己破壊など症状がおさまるものの、無気力、感情低下、意欲低下など前頭葉の症状がみられるようになります。当時は暴力などに対する治療法がなかったため、広く行われる様になっていましたが、症状緩和に効果的な薬が普及するとロボトミーはほとんど行われなくなりました。人格変化、知能低下があるため、日本では現在行われていません。
One Flew Over the Cuckoo’s nest
一度は断るも一緒に脱走することを決心していたチーフはスタッフに連れられたマクマーフィに近寄るも、何か様子が違うとすぐに異変に気付く。涙を流しながら強く抱きしめ、窒息死させた。
彼の思いを胸にマクマーフィが試みた脱走方法で病院の窓から脱走し、太陽に向かって走っていった。
One Flew Over the Cuckoo’s nest
1羽はカッコーの巣の上を飛んだ
まさにタイトル通り。
カッコーの巣=精神病院
1羽が自由を求めて精神病院から脱走する。
ラストは淡々と進み、いい味を出しています。
看護師ラチェットは悪者なのか
ここで院長も認める優秀な看護師ラチェットについて。
悪役の立場のようにみえるラチェットですが、彼女は婦長という立場で規則正しいスケジュールをしっかりと管理していると思われます。
マクマーフィがいることで規則正しい生活や正しい治療法などがしっかり行えなくなることで存在を危惧する描写もあります。
考え方によってはマクマーフィが悪役なのかと思うぐらいです。これは本作の見方によって観点が変わってくると思います。
他の方がどう捉えるか聞いてみたいところです。
精神病患者に対するリハビリ
また余談ですが、精神病患者に対してのリハビリは認知行動療法(CBT)を基本に行われます。
主にSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)を取り入れてリハビリをするところが多いです。他にもマインドフルネス、ACT(アクセプタンス・コミットメント行動セラピー)、アサーション・トレーニングなども行う場所もあります。
精神病と聞くと、思い浮かぶのは〝変〟〝恐怖〟などいろいろあると思いますが、本作では恐怖を感じる描写はほとんどありません。
本作は一人の人間が周囲の人たちに勇気や希望を与える映画だと思って頂ければと思います。
知識がなくても楽しめますが、上記で挙げた項目を知っているとより楽しめるかと思います。
御時間ある方は是非見てください‼︎
最後まで読んで頂きありがとうございました。