継続は力こぶ

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AmazonPrimeVideoが中心ですが、実話やヒューマンドラマなど、心に響く映画の感想や紹介をさせて頂きます

「あまくない砂糖の話」 砂糖のスゴさ、堪能あれ。

あまくない砂糖の話

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監督/出演:デイモン・ガモー

 

オーストラリアの俳優で歯を中心に成長したデイモン・ガモーのナレーターで始まる決して〝あまくない〟砂糖の話…

もうすぐ父親になることから、砂糖について真実を知るためにある実験を行います。

100分程度の作品でしたが、砂糖のスゴさを痛感した作品でした。

これを観たあなたの食生活が変わるかもしれない。

いや、変えた方がいいのかもしれない。

 

 

あらすじ

デイモン・ガモーは、人間は平均で1日にスプーン40杯もの砂糖を摂取していることを知る。世の中にはヘルシーをうたった食品も数多く売られているのに。疑問に思った彼は、医療チームの監視のもとで、自分が砂糖を食べ続けて実験をすることにした。その実験とは、あえて低脂肪ヨーグルト、穀物バー、フルーツジュース、シリアルなどの“ヘルシー”な食品を3食60日間食べ続け、体や心がどのように変化していくのかを記録していく。

cinemacafe.netより引用

 

ヒュー・ジャックマンカメオ出演

冒頭、砂糖の歴史について、あのヒュー・ジャックマンが力説します。これはビックリ仰天。 昔は砂糖は珍しく、その希少価値から王族の象徴になっていた。エリザベス1世も歯が真っ黒だったとか。掴みのある話をしていました。

 

脂肪VS砂糖

ここで砂糖と脂肪の歴史について簡単に説明がありました。

1955年アイゼンハワー大統領が心臓発作に襲われたことで心臓病に対する関心が集まります。

アメリカ人の科学者キーズは脂肪が原因と説明。一方、イギリス人のユドキン博士は砂糖に注目。

20年対立し、キーズが勝利。

脂肪が悪者に砂糖は無罪に。それから低脂肪ブームが始まるのでした。

しかし低脂肪だとカロリー不足で風味も劣るため、ここで〝砂糖〟が登場し重宝されました。

 

砂糖を摂るのはお菓子ではない

医療チームを結成し、スプーン40杯の砂糖を毎日2ヶ月間摂取し続ける実験を行う前にミーティング。

デイモンはジャンクフードやお菓子などを食べ続けると思いきや摂取するものは低脂肪のヨーグルト、市販のシリアル、穀物バー、ジュースやスムージーなど。疑問を隠せない反面、面白そうだとワクワクな表情でした。

 

砂糖ファミリーの紹介

ブドウ糖

脳のエネルギー源 パンやパスタ、野菜に穀物にも含まれる。なしでは生きられない

乳糖

哺乳類の母乳に含まれる糖分でチーズや牛乳、ヨーグルトにも入ってる。

ショ糖

コーヒーや紅茶に使う糖分でブドウ糖と果糖の2つの糖分からできている。

この果糖があらゆる物に入っており、病気の原因は多くの科学者が果糖だと考えいるのだとか。

 

実験開始

デイモンは以下のルールに従って実施。

●ジャンクフードはなし

ソーダやお菓子、アイスは禁止

●カウントするのはショ糖と果糖のみ

●走り込みや筋トレなどの運動は欠かさない

 

開始前スペック

体重:76kg

エスト:84㎝

内臓:問題なし

検査上、健康そのものの身体。

 

初日の朝食は…

シリアル推奨1食分 3杯

大人は2.5食は欲しいため、7杯半

ヨーグルト1食分 4杯強

リンゴジュース400ml 9杯

朝食のみで20杯‼︎

これはなかなか凄い量でした。

 

果糖の大量摂取はなぜ起こる?

りんご1個の砂糖はスプーン4杯。

2個食べたら大人でも満足。

ジュースにするとどうなる??

りんご4個をミキサーにかければコップ一杯。

合計スプーン16杯の砂糖を取っていることになります。満腹感を得るための食物繊維を壊し、ショ糖や果糖だけ取り出していることになります。恐ろしい。

 

ジャン・マルク・シュワルツ博士はこう述べていました。飲料を摂取すると快感を得られます。その効果は一瞬。巨大な糖分の波が肝臓に到達するようなもので、その影響は甚大だと。

 

12日目…

+3.2kgの体重の増量。

スーパーで謳ってる〝健康食品〟の摂取のみでここまで体重が増えるのか、驚きでした。

皮下脂肪は少ないが内臓脂肪TOFI(Thin on the Outside,Fat on the Inside)が増えていました。

果糖の摂取は内臓脂肪の増加に繋がります。

内臓脂肪が増えると、皆さまも知っているようにメタボリックシンドロームに陥り、病気になりやすくなります。

 

18日目…

ALTが上昇

ALTという肝臓内で働く酵素の数値が上昇し、血中濃度が上がっているとのことでした。簡単に言うと肝細胞の死骸などが、血中に入っているということ。肝臓に脂肪がたまってきている証拠ですね。

 

心の変化

気分の変動を訴えるデイモン。砂糖を食べると45分くらいハイな状態になり、その後はダルくなってボンヤリした状態に。

躁鬱病ではないが躁のように気分が高揚し普通の状態ではないとニック・アレン医師から言われます。

 

甘い飲料水を飲むと血糖が急激に上昇し、気分が高揚します。インスリンが分泌し血糖を下げるため、低血糖になると血糖を戻すためにアドレナリンが分泌します。そうなることで集中力の低下や短気になると言われています。

 

砂糖の勉強

体内に入った砂糖は果糖とブドウ糖の2つに分かれます。エネルギーとして使われるか蓄えられるか、ブドウ糖は肝臓で素早く処理されます。

果糖は自然界において希少なため、肝臓は全て吸収しようとしますが、余った分は脂肪に変えてしまいます。

肝臓に居座り続けることでインスリンの機能不全やDM(糖尿病)のリスクを高めます。

果糖から作られた脂肪は中性脂肪から血中へ。

これが肥満、動脈効果、心臓病の原因になります。

 

砂糖や炭水化物を大量に摂取すると体内のブドウ糖が増え、インスリンが血中のブドウ糖をエネルギーとして消費させます。

インスリンブドウ糖の処理を始めると脂肪細胞は分解されなくなるため、脂肪の燃焼が止められてしまいます。

つまり果糖から作られた脂肪が送られるのに同時にブドウ糖が現れ、インスリンの分泌も増えることから脂肪は燃やされず、そのまま残ってしまいます。

 

 

実験の拡大のためアマタへ

デイモンは実験のためオーストラリアへ。

地域開発委員のジョン・トレゲンザは1973年にオーストラリアに訪れ、アマタにて役所の人々とともに健康な物を摂取できるように生鮮食品を住民に届けるプログラムを計画。

●フライヤーを撤去

●無料飲料水の提供

●食育のため栄養士を雇う

●子供向けのPVを作成

健康についての理解が深まり、あの〝コカ・コーラ〟が排除されたことで、砂糖消費量が短期間で大幅減少。

しかし政府の予算が減らされ、栄養士は解雇。さらに資金を打ち切りになったことで教育の機会が奪われた結果、別の物から砂糖を摂取するようになってしまい、心臓病や糖尿病など病気も増えていった。

糖尿病や腎不全の原因は酒だという声があるが、アマタは飲酒が禁止であるため、ジョンは日々の食事が原因だと考えている。

 

 

世界一の肥満大国のアメリカへ

時差ボケの中、「果物と天然原料のみを使用、健康にコミットします」と記載されているスムージーを飲むが、糖分139gでスプーン34杯分だった。

このスムージーを果物のまま摂るなら…

桃4個、ライム9個、レモンとイチゴを30個ずつ。

 

ペプシVSコカコーラの戦争でペプシの勝利に終わったケンタッキー州。主力商品がマウンテンデューだが、1.25ℓのボトルにスプーン37杯の砂糖。カフェインは同じ量のコーラの4割増し。

もう、何にも言えねー…

 

移動式の歯科医院

ケンタッキー州では虫歯が問題となっており、歯科医のエドウィン・スミスは州内をトラックで走り回り、学校を訪ねて子供の指導や治療を行っていた。

マウンテンデューの飲み過ぎが原因で虫歯が多いと付けた名前が「マウンテンデュー・マウス」飲んだ20分後にはまた飲みたくなるのだとか。

スミスいわく唾液が口内を洗浄するには20分ほど要するとのこと。そのため歯がマウンテンデューに浸かっているのと同じだと述べている。

 

最年少の患者は3歳。「ほ乳瓶虫歯」というやつで、ほ乳瓶でジュースを飲ませたことで起こるとのこと。

18歳のある患者がほ乳瓶にマウンテンデューを入れて飲んでいたことからマウンテンデューマウスになっており、総入れ歯に。なかなか痛そうな描写があったが、一番驚いたのは、治療後〝これからも飲み続ける〟といったことだった。

 

食品業界の恐ろしさ

ニューヨークタイムズのマイケル・モスは「人間が何をおいしいと感じる舌になるのか」「どうすれば中毒性に生まれるのか」最大の労力を投じて研究していると、企業の恐ろしさを語った。

加工食品業界の重鎮であるハワード・モスコウィッツに取材でき、ドクターペッパーの味の開発方法を聞くことができた。

甘味料のレベルを61段階に分け、全米3000人を対象とした試飲テストを実施。そのデータから使用する甘味料の量の最適値を割り出しているとのこと。こうして新商品が売れるわけです。

最適値を業界用語で至福点と言うらしい。

あらゆる商品で至福点を追求するのは子どもの習性につけ込むのと同じ。子どもが求めるものは甘みだけ。そのため野菜を食べなくなる。ブロッコリーを食べても苦味が際立ってしまうとのこと。

 

35日目…

ルールである運動が苦になり始め、やる気が出なくなってきたデイモン。また肝臓機能低下の影響で吹き出物が出始めた。

 

身体面の変化は顕著、精神面の変化が心配で研究所にてMRI(磁気共鳴画像)にて脳検査を実施。シェイクの絵を見てストローを吸う時の脳反応をチェック。

視覚情報を得ると脳内でドーパミンが分泌され、エネルギーを得るために脳が摂取しろと命令。こうして甘みを摂取することでβ-エンドルフィンなどオピオイド類が分泌され気分が良くなる。ニコチンやコカインなど報酬領域を刺激されるが長続きしない。そのためまた摂取したくなる。この繰り返しが砂糖の中毒性を生むのだろう。

 

セルジュ・アーメドが発表した論文によると

実験用ラットはコカインよりも砂糖に対して、より執着を見せた」とされます。

 

折り返しの時点では食事量は増えたとばかり思っていたにも関わらずら摂取量は実験前と変わらない。

摂取カロリーは変わっていないのに肝臓には脂肪がつきお腹は出っ張てきてる。

こんなことってあり得るのか。

 

政府・業界による隠蔽

科学ジャーナリストゲーリー・トーベスは1970年代に事実の隠蔽が始まったと語る。政府が砂糖の安全性を調査し始めると、砂糖協会は製品が避難を受けないように動いた。学者にお金を払い、広告会社を雇って発表した声明はこうだった。

「科学者が砂糖の悪影響を否定」 

 

「食生活の中の砂糖」という文章が発表。業界の関与を隠した上で雑誌に掲載された報告書を砂糖協会はバラまき、政府は調査結果の判定にこの文章を使用したことで砂糖の容疑は晴れ、世界は砂糖を受け入れたのだと。

砂糖協会のテイタム会長は幹部に

〝砂糖が慢性疾患の原因となることを示す証拠は存在しない〟と説明。

砂糖協会の仕事は砂糖に起因する因果関係を隠すことだと主張。

 

またデューク大学大学院 行政学部長のケリー・ブラウネル博士は業界に都合のいい結果を科学者に発表させ、心臓病やガンに関連する団体に資金を提供して、マスコミを使い情報捜査する。業界に不利な研究は徹底的に攻撃すると語った。

 

キンバー・スタンホープ博士も代謝性疾患と砂糖の関連を否定する研究は多い。「因果関係を示す証拠はない」とする論文は砂糖業界の資金で発表されていると語った。

 

なぜ科学者たちは砂糖を守るのか。

会って話しを聞くことに。

 

ジョン・シーブンパイパー博士ばデイモンの実験は興味深いと。体重増加について問うと、どんな物も大量摂取は危険、カロリーの摂取量は自己管理すべき…と。

主張は食品業界の言い分と同じだった。

ここで研究資金の出資者を聞くとコカ・コーラから援助されていたことが分かった。

研究者主導で進める前提で資金を受け取ったが研究内容や方法など口出しはされていないと。

真実なのかどうか疑いたくなりますね。

 

アメリカ滞在中に痛感

デイモンは砂糖が人体にどんな影響を与えようと人々はそれを受け入れてしまっている。

人間の体と精神のすごさを改めて知った。

スプーン40杯分の砂糖摂取に適応してしまうんだと。

 

 

実験結果

60日間でスプーン2360杯の砂糖を食べたデイモン

結果は…

体重は8.5Kg増量

体脂肪率7%増加

エス10㎝増

ALTは最初の1ヶ月で数値が40近く増え、血中脂肪を示すTGは正常値の0.08から1.5まで増加。

 

摂取カロリーは変わらず、ジャンクフードも避けたのにウエストも体重も短期間で激増。

ちなみに…

脂肪肝になるとインスリンが働かなくなり、II型糖尿病が誘発されやすくなります。

トリグリセリドの数値が上がると悪玉コレステロールも増加し、心臓病につながります。

動脈壁に蓄積することで動脈硬化も引き起こしやすくなります。

 

 

各専門家が発言しています。

カロリー源に目を向けるべき。

砂糖を摂らなければ食品の危険度は下がる。

正確な研究を待つぐらいなら砂糖を減らす。

 

 

デイモンの復活

砂糖を断った一週間は辛かったと語る。

頭痛や気分変動、睡眠サイクルの悪化

朝は無性に砂糖を欲してしまう。

2〜4週間耐えると欲する衝動は突然消えるとのこと。

デイモンも情緒不安定ながらも砂糖を断ち、2ヶ月後には普段の食事を摂ることで体重もウエストも減少。肝臓も問題なくなった。

赤ちゃんも無事に産まれ、しあわせな家庭の描写もありました。

 

これから出来ること

砂糖と果糖の摂取が健康を害する要因。

砂糖だけが悪者という訳ではないが、身近さを考えると安易に摂取しやすいことから、摂取量を減らすことが大事。

砂糖を使うことなく、いかに自然な食材をおいしく食べられるか。

果物と野菜をメインの食材にして子どもにおいしいと思わせるのが重要。

親は栄養の摂り方を子どもに教えなくてはならない。

食べてきた物によって、将来の身体に変化がみられることを意識する。